利用者への配慮も重要な介助方法のひとつ

高齢者を対象にした介護の仕事の多くは日常生活のサポートですが、中でもトイレ介助は慎重に行う必要があります。排せつはひとりで行うのが普通であり、家族であってもその姿を見られたくないと思うのが普通と言えるでしょう。特に利用者の場合、今までは自分ひとりでできた排せつを他人に介助されることが恥ずかしく思う傾向が強く、トイレ介助を拒否することも少なくありません。介護施設に入居する利用者が便秘を患いやすいのは運動不足による新陳代謝の低下だけではなく、他人の手によるトイレ介助を嫌がることも大きな理由です。便秘による体調不良を避けるため、トイレ介助の必要性を理解してもらうことが介護職の大きな課題のひとつと言えます。

トイレ介助の問題として、排せつを行う場所がトイレに限らないことが挙げられます。トイレまで自力で移動できない利用者に対しては介護用のトイレを使うなど、その場でトイレ介助を行うこともあります。この場合は排せつをする姿が周囲に晒される形になってしまうので、カーテンや衝立などで目隠しをするなど、利用者への配慮を忘れてはいけません。室内の換気や消臭剤の使用などを徹底して、排せつ物の臭気が残らないようにすることも利用者の尊厳を損なわないための工夫になります。介護の仕事は利用者の体だけではなく、心のケアにも気を配ることが大切です。他人に介助されることを恥ずかしいと感じる気持ちを頭ごなしに否定するようなことはせず、利用者の意思を尊重しつつ適切に仕事を行うように心がけましょう。